5. 絶対に理解しておかなければいけないダンス音楽理論

ダンスにおける音楽と動きの関係性を理解するためには、以下3つの概念を知る必要があります。

  1. カウント
  2. タイミング
  3. ビートバリュー

です。

これからこの3つの概念を説明しますが、その前にまずは以下の2つのカウントをタイミングとビートバリューに書き換えてみてください。答えは最後に載せてあります。

問1

1a2 3&4 56& 78(二拍子)

問2

1 (2) & 3 4 1 2 3 (4)

※(四拍子) (2) (4)にステップなし



この問題を正解した方は、このページは読み飛ばしてもらっても結構です。さっぱりわからないという方は以下の説明をしっかり理解するまで読み込んで下さい。ダンスを理解する上で必ずやお役に立てると思います。

カウントとタイミングの違い

カウントとはステップを1,2,3,4,などと数字で数えていく方法のことであり、タイミングとはステップをS(スロー)、Q(クイック)などと記号で表現する方法です。

これはスタンダード、ラテン共に共通ですが、三拍子のワルツと、四拍子のルンバ、チャチャチャにおいてはタイミング表記は使わず、カウント表記のみとなります。

カウントとタイミングの大きな違いは、カウントは音楽の中でステップされる一時点を表す表現であるのに対して、タイミングはステップが持つ音の長さを表す、という点です。

つまり、四拍子の音楽で踊るとして、カウント1で右足前進と言った場合、このステップが1拍目に踊られると言う事はわかりますが、そのステップの長さが一拍分なのか、ニ拍分なのか、もしくは半拍分なのかはわかりません。また、タイミングS(スロー)で右足前進と言った場合それが ニ拍分の長さであるということはわかりますが、それが一小節の何拍目にステップされるのかはわからないのです。

カウントとタイミングを使い分けせずに使うことも多いのですが、その時々でカウントとタイミングを使い分けることによって、先生と生徒の間やカップル間での認識のズレを減らすことが出来ると思います。

カウント

カウントは、1, 2, 3, 4など数字と&(アンド)とa(ア)という2つの記号で表します。

1は1拍目、2は2拍目、、3は3拍目、4は4拍目を表し、&は数字が表す2つの時点の中間時点、aは数字と数字の間を3/4と1/4に分ける時点を表すということになります(図1)。

(図1)


タイミング

タイミングは、以下の4つの記号で表します。

(タイミングは、ラテンでは、サンバ、パソドブレ、そしてジャイブで使用します。ルンバとチャチャチャでは使いません。)

  • S (スロー)
  • Q (クイック)
  • & (エンド)
  • a(ア)

&とaはカウントの時とは使われ方が違うので注意が必要です。


S (スロー)は一小節を半分にした長さを意味します。つまり四拍子の音楽(ジャイブ)では2拍分(図2)、ニ拍子の音楽(サンバ、パソドブレ)では1拍分(図3)を表します。

Q (クイック)は一小節の1/4の長さを意味します。四拍子の音楽では1拍分(図2)、ニ拍子の音楽では半拍分(図3)を表します。

(図2)
(図3)



& (エンド)はQ を半分に分けると同時に、Qの半分の長さを表すために使われます。基本的にQ&(クイック エンド)のように2ステップセットで使われ、この場合 Q の音の長さは変化し、四拍子の音楽では半拍分(図4)となり、二拍子の音楽では1/4拍分(図5)となります。

ただし、S&という使い方はありません。Sを半分に分ける場合はQQと表現します。

(図4)
(図5)


a (ア)は S または Q の長さを3/4と1/4に分け、その時の長さはSまたはQの1/4となります。

& と同様、Sa(スロー ア)やQa(クイック ア)のように2ステップセットで使われ、四拍子の音楽の場合Sは3/2拍に変化し(図6-1)、Qは3/4拍に変化します(図6-2)。二拍子の音楽の場合、Sは1拍から3/4拍に変化します(図7)。二拍子の音楽ではQaと分けるステップはありません。

(図6-1)
(図6-2)
(図7)

ビートバリュー

ビートバリューとはステップの持つ音の長さ(タイミング)を1拍を1として、数字で表したものです。音符の長さと同じ考え方で問題ありません。

たとえば S Q Q(四拍子)をビートバリューで表すと2 1 1となり(図8-1)、S a S(二拍子)は3/4 1/4 1と表現します(図8-2)。

(図8-1)
(図8-2)


このように、カウント、タイミング、ビートバリューで振付(ステップ)を表すのは世界共通で、ボールルームダンスを理解するためには、これらをしっかり理解する必要があります。

振り付けにおける音楽の捉え方

次に、振付単位でいうと、音楽のメロディラインも考慮する必要があります。普段使われる曲は一小節が4つ集まってひとつのフレーズを作るパターンが多いです。したがって、振付を作る時点で、4小節単位で構成しておくと、どの曲で踊ってもその曲で振り付けたかのようなダンスに見せることができます。

そのように振り付ける場合、四拍子の曲は1234,2234,3234,4234のように数えながら振り付けると振付の構成が良くなります。

二拍子ならば12,22,32,42となります。これを12345678と8カウントで数える方法もあります。ジャイブなどの四拍子の音楽も四小節を12345678,12345678と8カウント単位で振り付けることは可能ですが、ルンバ、チャチャチャには適していません。

このように考えられた振付を踊る場合、1フレーズ(四小節)のうちの一小節目を合わせられるように、音楽をとらえる練習をする必要があります。


以上の内容を踏まえサンバのある振付を、カウントとタイミングとビートバリューで表すと次のようになります。

■カウント
1 a 2 3 4 & 5 a 6 a 7 & 8

■タイミング
S a S S Q Q S a S a Q Q S

■ビートバリュー
3/4 1/4 1 1 1/2 1/2 3/4 1/4 3/4 1/4 1/2 1/2 1

一歩を音楽的に分解して理解する方法

また、&カウントやaカウントは、1つのアクションをより深く理解するために一歩単位の中でも使用されます。

例えば、ルンバウォークを2で一歩前進する場合、2&aのように一歩を細分化して考えます。ここでは簡単に説明しますが、2でステップし、&で体重移動のためのヒップアクション(ペンデュラムアクション)が行われ、aでレッグアクション(その時行なわれるヒップアクションはローテーション)が行われます。※詳しくは第3章で述べています。


冒頭の問題の答え

問1

タイミング
SaS QQS SQQ SS

ビートバリュー
3/4 1/4 1 1/2 1/2 1 1 1/2 1/2 1 1

問2

タイミング
S a Q Q Q Q S

ビートバリュー
3/2 1/2 1 1 1 1 2

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